魚娘
2008-05-24 Sat 21:37






それは深い暗い海の底。
誰も知らない暗くて、でも美しい世界。
人は住む事の出来ない水のなかに、それはそれは美しい生き物が暮らしていました。

金色の髪は潮に靡き、空のような色をした瞳は暗い海の底でも輝いています。
耳には真珠のイヤリング、首にもたくさんの真珠があります。
耳の後ろからスラリと伸びるエラはエメラルドグリーン。
人間のような足はなく、代わりにあるのは魚の尾でしたが、それもとても美しく輝いています。
そう、それはそれは美しい人魚が海の奥深くで住んでいたのです。


彼女には遠くの海にたくさんの仲間と、友達と、大切な家族がいましたが、此処には1人で暮らしていました。
ちょっと寂しい気持ちもありましたが、大丈夫!
だって住んでる海の洞窟の周りには、たくさんの魚や貝やイルカの友達がいるのですから。
人魚は毎日毎日、海を泳ぎ回りました。
彼女の仕事は海のパトロール。
自分がいる海の安全を毎日確認し、皆の体調を管理することです。


『人魚さん。僕の尾鰭、色が変わってきちゃったの。病気?』

「違うわ。これは大人になった証拠よ。」

『おいおい、人魚よぉ。おいらの縄張に変な奴が入って来たんだよ。』

「どんな子か特徴を言って。害があるなら警戒するし、ないなら一緒に遊んでもかまわないわ。」


毎日毎日大忙しです。
でも、人魚は楽しく幸せに暮らしていました。





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ひらひら
2008-01-02 Wed 17:42



「・・・・・・きゃっ」
ビックリして、声が出てしまった。
そのまま後ろへ下がり、トンっと尻餅をついてしまった。
なんてことはないのだ、ただ、目の前をソレがひらひらと横切っただけ。
思ったよりも驚いてしまった。イヤ、思ってなかったから驚いたのだが。
恥ずかしい。
こける事はよくあるが、誰かに見られでもしたらもっと・・・・・
「何驚いてんの。蝶なんかで。」
「リ、リョーマ・・・・くん・・・・・」
見られていたらしい。しかも、彼、越前リョーマに。
桜乃は若干赤かった顔をさらに赤く染めた。
いつもこうだ。
彼に会うと何かはわからないがすぐに恥ずかしくなって、しどろもどろになって・・・・・。
しかし今はもっと恥ずかしい。
可愛らしいモンシロチョウに驚いて尻餅をついてしまうなんて・・・・・
「ご、ごめんなさいっ・・・・・練習・・・・の邪魔しちゃって・・・・」
制服のままの昼休み。彼はラケットを持って校舎の裏に立っていた。
桜乃は雑踏の上に座ったまま、ペコリと頭を下げる。頭の動きにあわせて髪の毛が揺れた。
「別に。」
そう言って彼はそっぽを向く。
何故だろう。
そんな姿も、コート上で相手と戦っている姿も全部愛しくって。
何時からだろう?
こんなに好きになってしまったのは。
まだ会って少ししかたっていないのに。心臓は鳴りっぱなしで、身体中熱くって。
頭の中が、真っ白になってしまう。
「ね。」
「・・・・えっ?!」
「いつまでそこに座ってんの?」
「あ・・・・・あー。」
あわてて立ち上がって砂埃を払う。
恥ずかしい、はずかしい。
どんどん紅くなってしまう、そんな桜乃に、彼は。
「怪我、ない?」
「え?・・・・・うん。」
「そ。」
それだけ言って立ち去ってしまった。
でもその一言がなんだか嬉しくって。
心配してくれたみたいで嬉しくって。
桜乃は簡単に笑顔になってしまうのだ。

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